劇場版電人ザボーガー

公開初日に見てきた。

今回は上映館が少なかったので、
いつもの川崎ではなく、横浜の映画館、ブルク13をチョイス。
駅そばの、ショッピングモールの上の階に設置されているタイプで、
これはショボいんじゃ、と覚悟したが、広くて綺麗だった。
上映ホール内も広く、座席と座席の間(前後)も広かったように思う。
スクリーンも大きくてよかったのだが、
予想以上に大きかったため、センターの通路すぐ後ろの席だと、若干見上げる形になり
いつものつもりで見ていたら、首が疲れた。
ただ、若干、音響に不満というか、低音が効いてない様な気がしたが、気のせいだろうか。
安いスピーカーで大音量にした時の薄っぺらい音、というか。

以下、ネタバレ含む感想。




お約束のネタバレとして、新田刑事爆死


それはいいとして、予告である程度解っていた事ではあるが、
おちゃらけ要素が多すぎて、正直楽しめなかった。

まず、第一部、青年期編だが、
レビュー等で大門完コピ、等と絶賛の主人公の演技だが、
オイ、どこがだよ、と言いたい。
熱さと朴訥さのバランスが大門の特徴なのだが、
この映画では、ただの脳筋、熱血バカとして描かれている。
俺的には、OPテーマ曲に乗せたバトルで、決めの変顔を見せたところがピーク。
喋れば喋るほどダメ。
髪型も雑なヅラ(しかも大門に似てるワケでもない)、顔は石川遼、喋りはヘタクソ、
演技自体は悪くなかったが、大門豊かというと完全に別もの。
これで「完コピを目指した(キリッ)」とは、失笑である。
ただ、どの程度吹き替えか知らないが
アクションは良かったと思う。

主役だけかと言うと、他の出演者もダメ。
まず、何故かヒロイン役抜擢のミスボーグ。
容姿はどうでもいいが、とにかく声がダメ。
女特有の、無理にドス効かせた声が聞き苦しい。
(これは、ラーガズ三姉妹にも言える)
これなら、昭和のミスボーグの方が魅力的である。
悪之宮博士は風貌も似てないし、キチガイはキチガイだが、方向性が違う。
あれなんじゃないの、役者が大物だし、普通に悪役やるの嫌がって
監督ちゃんさあ、こんな感じでどう?みたいなノリなんじゃないの、と
邪推してしまう。
喋りも活舌が悪く、7割くらい何言ってるか聞き取れなかった。
原作でも登場したライバル、秋月玄も、設定改変で登場するが、
衣装以外、オリジナルとは似せる気は無いようである。
そこは良いのだが、そのくせ
大門!というイントネーションだけオリジナルを再現しており
(というか、オリジナルは全部訛っているw)
それが知ったかぶり乙、的な
ウザさを感じてしまう。
(V3のドクトルGの仮面ラァ~イダ的な)
こんなもん、最初の一回だけ入れればニヤリとできて終わるのに、何度も何度も言うから。

ただ、新田刑事は、顔は似てないと思っていたのだが、
意外と雰囲気近くて良かった。
それだけに、2部でのガイキチ化はゲンナリである。

ストーリーは、TVとはパラレルで、大門登場から描かれているのだが、
おかげで展開が駆け足、
劇中、大門とザボーガーは3回程度しか闘ってないワケで、絆とか言われても
ピンと来なかった。
これなら、TV版〇話あたりの(それこそ、MX放送の13話とか)続きで、
そこからパラレル、とかで良かったのでは。
この映画単品で作品として完結させたいのはわかるが、別にそんなもんバッサリ省略で良いと思うんだが。

後編、おちぶれた大門が立ち直るエピソードは
そこが映画の焦点であるかのように予告で見せておきながら、
サラっと流すだけ。
というか、主演板尾と言っているが、活躍自体は若大門の方がぜんぜん多く、
板尾氏は、客寄せに呼んでちょっと頑張ってもらった、みたいなレベルじゃないか、と。

原作では最後まで変形せず終いだったマシンホークの変形は、
もっと引っ張りるのかと思ったが、意外にあっさり登場。
だが、あのふざけた扱いに心底ガッカリ。
ここは期待に応えるところだろ、と。
しかも実質ラスボスである。
これでどう熱くなれ、と。

女体巨大化は、何となくだが、この監督の趣味なのかな、という気がした。
(ミスボーグのシーンも含めて、ちょっと変わった性癖の人なのだろう)
それ自体はまあ良いが、意味不明の携帯怪電波攻撃とか、生首攻撃とか、
なんだかなあ、と思ってしまった。
どうせやるならミスボーグゴア死とか、そこまで振り切れば良いのに。

最後のザボーガーとのダブル飛竜三段蹴りはちょっと良かったが、
あそこは、腰痛で飛べなくなった大門が(ドラマの勢いだけで)いきなり復活するのではなく、
ザボーガーがサポートする形で、だったら
絵的にもドラマ的にも熱かったと思う。

シナリオは全般的に勢い任せ、というか
どこが「泣ける」んだ、バカヤロウ、と。
はっきり言ってイマイチである。
シチュエーション的にはアツいシーンもあったが、
そこらへんは予告編で全放出、本編は残りカスといった印象。

良いところといえば、基本、劇中のBGMは原作BGMのアレンジ版で、
これが、この映画の最大の良い点だった。
アレンジ具合も絶妙で、これはCD欲しいレベル。
よく動くザボーガーも見所だったが、
やはり、アレンジされたデザインが格好悪く見えてしまう。
3門となった速射破壊銃もバンバン使ってくれるのだが、見せかたが雑というか、
ミスボーグ、ジャンボメカと、破壊力を感じさせない演出で、
速射破壊銃=弱武器、という印象がついてしまった。
破壊銃といえば、OPラストは、主題歌完走せずに、
破壊銃>主題歌停止>メカアニマル爆死
という流れが見たかった。
また、使用シーンが多いのだから、一回くらい
中盤使用した
ザボーガー・速射破壊銃の構え
からの発射が見たかったところである。

総括として、結局、公式でやった仮面ノリダーという感じで、
オリジナルのファンはただ不愉快…
とは言わないが、笑えないクソコメディ止まりだった。
ミスボーグの屋台とか、ブルガンダーの赤いヤツを~発言とか、
面白い原作パロディは沢山あったのだが、匙加減がヘタクソというか。

映画の最後に
山口 豪久氏に捧ぐ
と書いていたが、こんなもの、本当に故人に捧げられる映画だったと思ってんのか?と。

「笑って泣ける」、等と言うからには
バカで笑える、だけではなく
すごすぎて笑える、というシーンを期待していたのだが
そんなシーンは最後までなかった。
が、EDがオリジナル映像版のカット使用、というのは
唯一の良心というか、もうそこだけは泣ける映画だったと言いたい。

コメディというか、笑いは人それぞれ合う合わないが大きいと思うので
合う人なら楽しめるのかもしれない、と一応フォローしつつ
超HAMEX映画批評的には30点。
思い返すと、俺が素直に笑えたのは、
ザボーガーで戦闘員ひき殺すシーンくらいだったかもw

ただ、この映画化のお陰で、オリジナルのザボーガーを見る機会を得られたワケで、
(まさににわかファン乙、であるw)
その点では感謝している。